2020年の現状初期化されたiPhoneのデータ復元はほぼ不可能です、データの復旧を謳う業者は絶対に利用しないでください。
とはいえ一定の条件下であればダメ元で業者にお願いするのも手です。
その際は悪質な業者に捕まらないよう、厳選する必要があります。
iPhoneのデータ復元は限り無く不可能
iPhoneのデータ復元は限り無く不可能です。
まずこちらをご覧ください。
一般社団法人日本データ復旧協会(DRAJ)主催の、データ復旧事業の取り組みに関する発表会についてのレポートです。
一般消費者やメディアではなくデータ復旧協会の会員向けで、昨今のハードディスクなどの記憶媒体を取り巻く環境の変化や、今後のデータ復旧業者としてのあり方を啓蒙する内容です。
そして登壇する方も協会に所属している大手データ復旧業者の社員といういわゆる「ガチ」な公演。
登壇の中でiPhoneのデータ復旧事情にも触れられており、抜粋すると
iPhoneやAndroid 7以降ではファイルタイプ暗号が使われており、復旧は不可能である。というのも、ファイルタイプ暗号では100個のデータを作れば、100個分の暗号化されたデータが生成され、1つ1つの暗号を解かないとデータとして成立しないようになっている。
そのため、近年のiPhone本体から削除したデータの復旧を謳っているところがあったとすれば、まず疑うべきとのこと。ファクトリーリセットをかけた時点で暗号鍵もなくなってしまうという点も含め、スマートフォンのデータ復旧は商売として成り立たないそうだ。
つまりiPhoneを初期化した場合復元は事実上不可能である、ということが発表されています。
ファイルタイプ暗号を暗証鍵無しで復元するための、本当に超膨大な解析に用いる機器の稼働時間を考えると、確かに相当復旧費用を高価にしないとまず商売にはならないでしょう。
原理的には可能でも、あまりに現実的ではありません。
講演会では以下のようにも述べられています。
下垣内氏はデータ復旧業者としては、スマートフォンについてはまったく手も足も出ない状態であると認めた上で、これを悪用して調査費で儲けようとする悪質な業者がいることを指摘し、復旧ができないとわかっていて、できるかもしれないなどとうそぶき手数料をせしめているという。真っ当なデータ復旧業者としては許しがたい行為であり、ぜひとも注意してほしいと強く訴えた。
「iPhone データ復旧 」などと検索するとデータ復旧業者のサイトがヒットし、まことしやかに「データ復元率90%以上!」などと宣伝していますよね。
しかしiPhoneのデータ復旧という作業自体不可能であることが明らかになっている以上、iPhoneのデータ復旧のために業者を頼るのは間違っています。
iPhoneのデータ復元が不可能な状況はしばらく続く
さらに残念なことに、iPhoneのデータ復元が不可能な状況はしばらく続きます。
そもそもiPhoneがデータの保存にファイルタイプ暗号を使用しているのはセキュリティーのためです。
iPhoneはセキュリティーやプライバシーにかなり配慮されており、Appleは公式に「ユーザーのプライバシーをお金に変えない」という旨を発表しています(参考)。
Androidもセキュリティーに関しては近年強化傾向にあり、つまりスマートフォン全体としてこれからも高セキュリティになっていきます。
そしてセキュリティーが強化されるにつれデータはより保護され、復元もより困難になります。
iPhoneのデータを業者が復旧できる場合
とはいえiPhoneのデータを業者が復旧できる場合もあります。
iPhoneがメモリと関係ない部分の故障で済んでおり、基盤の修理などでiPhoneが正常に動作する場合です。
たとえば
- 落としてしまい、画面だけが完全に不能となってしまったiPhone
- リチウムイオンバッテリーが完全に寿命を迎えて電源がつかなくなったiPhone
- 水没により軽くショート状態となったiPhone(この場合かなり生還率は下がるでしょうが)
などです。
データ復元というより「修理」ですね。
しかしユーザーとしては結果的にデータが手元に帰って来ることが大切なはず、原因を切り分けて考えていきましょう。
もちろん前述の通りiPhone内部のデータ本丸には手も足も出ないのが現状なので、期待は禁物です。
iPhoneの修理業者のオススメ3社
「筆者ならここに相談する」というiPhoneの修理業者を3社紹介します。
もちろんここで紹介した業者に持ち込んで修理や復元が成功しなくても、当サイトは一切の責任を負わないこととします。
iCracked Japan
- 総務省登録修理業者
- Google正規サービスプロバイダ
iCrackedはiPhone5を除く全機種を総務省登録修理業者に登録している、という数少ない業者のひとつです。
おもしろいところは、それにもかかわらず「総務省登録修理業者登録がすべてじゃなくね?」と言い切ってしまっているところです。
iCrackedは総務省登録修理業者登録に1億円近くをかけており、だからこそ言えることなのかもしれませんね。
総務省登録修理業者登録に関する1年以上の苦労も別記事で公開されていますので、ぜひご覧ください。
iCrackedのように、誠実にユーザーと向き合っているという姿勢がサイトから伝わってくる業者は貴重なのではないでしょうか。
スマートドクタープロ
- 国内最初の総務省登録修理業者
- iPhone修理店の中でもかなり老舗(2009年創業)
- スタッフのほとんどは正規雇用(正社員)
日本人的な「安心感」を一番感じたのがこのスマートドクタープロ。
iPhone修理店といえば「バイト同士がいつも店内で喋っている」という印象を持っている人も少なくないでしょうが、スタッフがほぼ正社員というのはかなり安心ですよね。
さらにiPhone3GSの頃からiPhoneを修理していたという実績、そして国内最初の総務省登録修理業者というブランドが安心感に拍車をかけます。
スマートドクタープロは国内最初の総務省登録修理業者というアドバンテージから、2015年当時総務省登録修理業者でなかったiCrackedを叩き潰そうとした過去もありましたが、企業の姿勢としてはユーザー側として信頼に足るでしょう。
含蓄深いWebコンテンツも一読の価値ありです。
データ復旧センター
- パソコン関係のデータ復旧に実績あり
- iPhoneの対応端末を公表している
- iPhoneの主な故障・障害原因とデータ復旧方法が公開されている
まずHDDなどで実績があるからと言ってiPhoneに強いわけではありません。
しかし基盤を修理する技術は一朝一夕で身につくものではないので、技術的な部分を任せるならアリだと考えています。
その上で、iPhoneの対応端末が公表されているのが好印象でした(古いiPhoneで更新が止まっている業者は本当に避けましょう)。
またiPhoneのデータ消失・故障時のNG行為も紹介されているので、困ったときはとりあえず確認しておきましょう。